戦略思考は一日にして成らず

子供が小さい頃は、色んな昔話を読み聞かせてあげたものです。

息子なんかは、桃太郎の話を聞かせたすぐ後に、「僕、桃太郎になる!」と言い出す始末。

 

ちょうどその息子が、2歳になるかならないかの頃、新宿にある大きな書店の壁一面に置かれていたのが、「昔話の戦略思考/梶井厚志(著)

 

折しも、息子に色々と昔話を聞かせていた頃で、昔話と戦略思考が全く結びつかなかった私は、面白そうだと思って買ってみました。

 

しばらく積読状態だったのですが、梅雨時、雨の休日に読む本がなくなり、本棚をあさって見つけたこの本を、やっと読み終わりました。

 

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タイトルに、”戦略思考”とあるからと言って、戦略的思考の技術が身に付くなんて安直な期待はしない方が良いです。

 

むしろ、思考遊びを存分に楽しむための本です。

 

昔話と落語を材料にして、それらを経済学的視点で話を掘り下げ、面白みを追及したり、時に皮肉ってみたりして、単純明快な昔話を、深く深く探求していき、知的好奇心を刺激してくれる一冊です。

 

経済学的視点と言っても、とても分かりやすく解説してくれているので、経済なんてチンプンカンプンな方(私)でも、眉間にしわを寄せることなく、クスっと笑いながら読むことができます。

 

この本に書いてある「わらしべ長者 ものの交換価値を考える」の章は、高校の国語の教科書にも採用されているようで、著者の思考を読むことによって、元の話「わらしべ長者」をさらに面白く読めるようになると思います。

 

後半は、昔話だけでなく、落語を掘り下げているんですが、私、全く落語を知らなかったんですけど、この本を読んで落語への興味が湧いてきたのもうれしい誤算です。

おそらく、著者の方が、簡易なんだけど、面白さが伝わるように書いてくれているんでしょうね。

 

あと、最近よく聞く「仮想通貨」であるとか、「ブロックチェーン」なる仕組みも、落語と掛け合わせて、分かりやすく解説してあって、やっと謎が解けたって感じです。

 

ちなみに、著者の方がお茶屋バーに行った時のエピソードは、学びもありつつ、面白くもあり、この本の親しみやすさをグーンっとアップさせている気がします。

 

戦略思考は、勉強したからと言って、今日明日身に付くものではなく、こういった思考との戯れが土台となり、そしてそれが、少しずつ蓄積していった結果、いつの間にか身に付いているものなんじゃないかと思うんです。

 

そういった意味で、戦略思考の礎を築く上でも、お勧めできるんじゃないかなーと思っています。

昔話の戦略思考/梶井厚志(著)

 

楽しみながら読めるので、梅雨時の休みの日や、梅雨が明けた地域の方は、夏休みにでも読んでみてはいかがでしょうか?

 

あるいは、子供の読み聞かせに。。。そしたら、いつの間にか、戦略思考が身に付いた子供に育ってる!?